四時吟

新短詩
大聖樂・四時如醉
鵲橋仙・四時吟
奪錦標・酒店醉梦:四時吟
東風第一枝・四時吟
菊花新・四時如醉
新譜・春醉秋醒
長相思・偶 作
七絶・四時有感
七絶・四時吟景
七律・四時愛藝術
五律・四時吟
半歌仙・四時吟句
偲歌・四時吟
漢俳・春秋醉
漢歌・回 憶

<目次へ戻る>


      大聖樂・四時如醉         2003.11.19

  満目桜雲,任風飛雪,抱壺花底。試擬唐吟句搖脣,冩景叙情,微醉獨誇文雅。出仕辛勤無功譽,有散職酣春誑病假。聽流鶯巧囀,酬和声嗄。
  山行頻佯隱者,愛樹蔭鼾眠消盛夏。梦俗寰仙境,嫦娥如誘,秋天妖冶。嘆息我才詩難就,醉醇酒温臍寒月夜。呵何筆? 忍嚴冬、願誰評價? 


  目をみたす桜の雲,風にまかす香る雪,壺を抱く花の底。試みに唐に擬し句を吟じて唇をゆらし,景を写し情を叙(の)べ,微醉してひとり文雅を誇らん。出仕辛勤して功譽なく,散職、酣春に病假(=病休)と誑かすあり。流鶯の巧みに囀るを聴き,酬和すれば声 嗄れる。
  山行しきりに隱者といつわり,樹蔭に鼾眠して盛夏を消すを愛す。
俗寰に仙境を夢みれば,嫦娥、誘うがことく,秋天に妖冶たり。我が才を嘆息すれど詩なりがたく,醇酒の寒月の夜に臍(へそ)を温めるに酔う。呵するはいかなる筆ぞ,厳冬を忍び、誰が評價を願わん。

         <戻る>


      鵲橋仙・四時吟句         2002. 9. 8

  春朝鶯哢,夏天蝉噪,秋夜悲悲蛩亂。愁聽天籟是陰風,抱壺酒、吟腸尚健。
  月臨峰頂,雪舗田野,眼底皚皚如幻。窗邊探韵試搖脣,句難得、猶重玉盞。

   春朝、鶯さえずり,夏天、蝉さわぎ,秋夜、悲悲として蛩(コオロギ)乱る。愁い聴く天籟、これ陰風なるも,壺酒を抱いて吟腸なお健なり。
   月は峰頂に臨み,雪は田野に舗(し)き,眼底に皚皚と幻のごとし。窓辺に韻を探って唇を揺らすを試みるも,句は得がたく、なお玉盞を重ねん。
         <戻る>


     奪錦標・酒店醉梦:四時吟句     2002.11. 4

  春賞櫻雲,乗風舞雪,片片晴天霏散。夏避驕陽吟歩,偏愛幽林,納涼溪澗。有烟霞沈痼,慢探勝、裁詩無倦。聽秋声,傷感舒情,善耐修辞華誕。
  化蝶游魂仙苑,頻遇天人,氷肌膩滑豐滿。悦目乳房双聳,振翅旋回,玉容妖婉。忘文才淺短,弄花言、搖脣稱讚。見三陪、告訴関門,送我寒冬風巻。

  春に賞す櫻の雲,風に乗る舞雪,片片と晴天に霏散す。夏に驕陽を避けて吟歩し,ひとえに愛す幽林,納涼の溪澗。烟霞沈痼あり,みだりに探勝し、裁詩を裁して倦むなし。聽秋声を聴き,感を傷(いた)めて舒情を舒(の)べれば,善く修辞の華誕たるに耐う。
  化蝶と化して游魂仙苑に魂を遊ばせ,頻に遇う天人,氷肌は膩滑として豊満なり。芽を悦ばして乳房、双つながらに聳え,翅を振って旋回し,玉容、妖婉なり。文才の浅短たるを忘れ,弄花言を弄し、唇を揺らして称賛す。三陪(ホステス)見ゆ、関門(閉店)を告げ,我を寒冬の風巻くに送る。
    華誕:華やかだが中味のないこと。

         <戻る>


      東風第一枝・四時吟        2003. 1.12

  春賞櫻雲,乗風香雪,碧天霏散清耀。抱壺冩景舒情,唱和黄鶯聲巧。驕陽盛夏,喜風爽、山湖垂釣。帶美酒、看過魚鱗,游泳艪邊無飽。
  頻戀慕、嫦娥皎皎,念玉女、艷誇花貌。濃妝豐頬佯羞,解帶脱衣含笑。氷肌瑩潤,乳房聳、正堪凝眺。醒秋梦、醉忍嚴冬,吟思往時情好。

   春に賞す、櫻の雲,風に乗る香雪,碧天に霏散して清らかに耀やくを。壺を抱き景を写し情を舒(の)べ,唱和す、黄鴬の声の巧みなるに。驕陽の盛夏,風の爽やかなるを喜び、山湖に垂釣す。美酒を帯び、見過ごすは魚鱗の,艪辺に遊泳して飽きるなきを。
  頻に嫦娥の皎皎たるを恋慕し、玉女の艶に花貌を誇るを念(おも)う。濃妝の豊頬、羞らう振りして帯を解き衣を脱ぎ笑みを含む。氷肌は瑩潤なり、乳房聳えてまさに凝眺するに堪う。秋夢さめ、酔って忍ぶ厳冬,吟じて思う、往時の情の好きを。

         <戻る>


     菊花新・四時如醉         2003. 8.16

  散士半生如半價,天用吾才頻請暇。春日入櫻雲,花天醉、放吟清雅。
  緑陰午睡消炎夏,好梦醒、月明秋夜。飲酒忍寒冬,思戀戀、念嫦娥寡。

  散士半生 半価のごとく,天は用う、吾才の頻に暇を請うを。春日、櫻雲に入り,花天に酔い、放吟して清雅たり。
  緑陰に午睡して炎夏を消し,好夢醒めらば、月明るき秋の夜。酒を飲んで寒冬を忍び,思い恋恋として、念嫦娥の寡(ひとり)なるを念(おも)う。
         <戻る>



     新譜・春醉秋醒          2003.11.14

  月堪冩,花堪冩。閑官覓句誇文雅,春秋頻病假。
  游花下,吟月下。餐霞養性無声價,笑顔佯隱者。

    月は写すに堪え,花も写すに堪う。閑官の覓句、文雅を誇り,春秋に頻に病假す。
    花の下に遊び,吟月下に吟ず。霞を餐(くら)い性を養い声価なく,笑顔、隠者といつわる。
       冩(写):書く。
       病假:病気を理由に休む。

         <戻る>



       長相思・偶 作          2003.11.15

  月影移,花影移。茅舎春秋事事宜,吟魂常欲馳。
  鳥語奇,虫語奇。騒客搖脣競唱詞,山河堪挺尸。

    月影移り,花影移る。茅舎の春秋、事事に宜しく,吟魂、常に馳せんと欲す。
    鳥語 奇にして,虫語も奇なり。騒客、唇を揺らして唱詞を競えば,山河 挺尸するに堪う。

       挺尸:死体が硬直する。寝る。なまける。

         <戻る>

     七絶・四時有感          2002. 7.15

  春風飛雪櫻雲盛,    春風 雪を飛ばして櫻雲 盛んに,
  夏雨挂虹蝉語愁。    夏雨 虹を挂(か)けて蝉語 愁う。
  秋野蛩声悲皎月,    秋野の蛩声 皎月に悲しみ,
  冬宵壺酒慰霜頭。    冬宵の壺酒 霜頭を慰む。

         <戻る>


     七絶・四時吟景          2002. 7.29

  春花盛處飛金盞,    春花 盛んなるところ 金盞を飛ばし,
  夏雨烟天戀蒼穹。    夏雨 煙る天 蒼穹を恋う。
  秋月照雲人覓句,    秋月 雲を照らし 人は句を覓(もと)め,
  冬寒催雪酒無功。    冬寒 雪を催して酒に功なし。

         <戻る>


     七律・四時愛藝術         2001. 1. 8

  日本多人通藝術,    日本 通藝術に通じる人多く,
  藝林四季雅懷攅。    芸林 四季に雅懷攅(あつ)まる。
  春聽歌曲値空腹,    春に歌曲の空腹に値するを聴き,
  謹愼鼾眠放屁寛。    鼾眠して屁の寛なるを放つを謹愼す。
  夏讀天書識巨匠,    夏に天書の巨匠を識別するを読み,
  期望醉梦上仙歡。    醉って上仙の歓びを夢みるを期望す。
  秋稱裸婦氷肌畫,    秋に称える裸婦氷肌の画,
  但怕堪不冬日寒?    ただ怕れるに冬日の寒きに堪えるやと

         <戻る>

     五律・四時吟           2003. 7. 4

  魍魎戀花影,      魍魎 花影に恋し,
  追随吟客行。      吟客の行くを追随す。
  探春貪景勝,      春を探って景勝を貪り,
  走肉遶山城。      肉を走らせて山城をめぐる。
  夏雨洗黄熟,      夏雨 黄熟を洗い,
  秋風拂緑橙。      秋風 緑橙を払う。
  餐霞本無味,      霞を餐(く)うはもとより味なく,
  冬酒雪原傾。      冬酒を雪原に傾く。

         <戻る>

      漢語半歌仙・四時吟句       2003. 1.21

  櫻雲好。天用吾才,吟無飽。唱和流鶯,周游仙島。
  聽雷声,避雨人家,蒙厚情。笑對姑娘,共喜夕晴。
  仰峰頂,殘雪皚皚,蒼穹映。花落繽紛,緑濃幽靜。
  歩庭前,獨零暗涙,怨清縁。無言老醜,含笑嬋娟。
  又孤枕,梦逢仙女,通神品。覓句擬唐,搖脣碎錦。
  晩蛩哀。月光不忍,踏青苔。梦裡愁傷,電脳剪裁。
  頻曉起,老呵禿筆,交妖鬼。對酌凌寒,温臍搖尾。
  有行尸,庚申無睡,怖三尸。儒生説道,樗散迷詩。
  一枝梅,横斜倒影,薄氷危。桃源遲日,李下成蹊。

   櫻雲(エイウン)好し。天は用いん、わが才の吟じて飽くなきを。
   唱和するは流鶯(リュウエイ),周遊するは仙島。
   雷声を聴き,雨さける人家に厚情を蒙りて,
   笑って対する姑娘(コジョウ), ともに喜ぶ夕晴(セキセイ)。
   峰頂を仰げば殘雪皚皚(ガイガイ)と蒼穹(ソウキュウ)に映ず。
   花は落ちて繽紛(ヒンプン)たり,緑濃くして幽靜たり。
   庭前を歩んでひとり暗涙(アンレイ)を零(お)とし清縁(セイエン)を怨む。
       庭前:庭先。暗涙:人に知られぬ涙
   無言の老醜(ロウシュウ),笑み含む嬋娟(センケン)。
   また孤枕(コチン),夢に逢う仙女,神品(シンピン)に通ず。
       神品:芸術作品などのすぐれた趣
   句を覓(もと)めて唐に擬し,脣を揺らして錦(にしき)を砕く。
   晩蛩(バンキョウ)哀し,月光、青苔を踏むに忍びず。
   夢に愁傷し,電脳(デンノウ:パソコン)に剪裁(センサイ)す。
       剪裁:文章に手を入れる
   頻(ヒン)に暁に起きて老いて呵す禿筆(トクシツ),妖鬼と交わらん。
       呵禿筆:磨り減った筆に息を吹きかける
   対酌して寒を凌ぎ,臍(へそ)を温めて尾を揺する。
   行尸(コウシ)あり,庚申に睡るなく,三尸(サンシ)を怖れ,
       行尸:行尸走肉:歩く屍。役立たずの人。三尸:庚申の日に人体より出でて天帝に人の行状を密告する三匹の虫
   儒生(ジュセイ)は道を説き,樗散(チョサン)は詩に迷う。
       儒生:儒学者。樗散:樗櫟散木:役に立たない木。役立たずの人
   一枝の梅,横斜(オウシャ)の倒影(トウエイ),薄氷に危うし。
   桃源、日を遅くして,李下に蹊を成す。

         <戻る>


     偲歌・四時吟           2002. 9. 5

  春朝鶯囀,         春の朝に鶯は囀(さえず)り,
  夏雲蝉語,         夏の雲に蝉は語り,
  秋月蛩鳴冬雪舞。    秋月に蛩(コオロギ)鳴いて冬に雪舞う。

         <戻る>


     漢俳・春秋醉           2003. 7.12

  酒境却塵煩。       酒境に煩わしきを却(しりぞ)く。
  醉賞春櫻任風雪,    酔賞す 春の桜の風に任せて雪ふり,
  秋月映觴圓。             秋の月の杯に映じて円(まどか)なるを。

         <戻る>


     漢歌・回 憶           2003. 7.16

  大梦逐時遷。       大夢時を逐(お)って遷(うつ)る。
  醉憶青春笑生誕,    醉って憶(おも)う、青春に笑って生誕し,
     朱夏結塵縁。                朱夏に塵縁を結ぶを。
  白秋人老聽蛩語,    白秋 人老いて蛩語を聴き,
  玄冬埋柩雪深山。    玄冬 柩を埋めるは雪深き山。

         <戻る>